初めて体験したという海釣りを楽しむ佐々木さん

移住定住促進に関するSNSを活用した情報発信など

  • 秋田

秋田県 男鹿市 地域おこし協力隊 現役隊員(任期:2020年10月~2021年12月、2022年産休・育休、2023年復職予定)
佐々木里保さん

コロナ禍を機に夫の生まれ故郷である男鹿市に移住

東京のアパレルメーカーに在籍し、服飾雑貨デザイナーとして活躍していた佐々木里保さん。結婚後、夫の実家である秋田県男鹿市をしばしば訪れる機会があり、地方での生活に惹かれていったという。

「幼稚園の頃から憧れていたデザイナーとしてアパレル業界に就職したのですが、自分の仕事が世の中に本当に必要とされるものなのか疑問に思うようになりました。東京での生活に疲れていたこともあり、2019年頃から真剣に地方移住を考え始めました。そこで、具体的な情報を得るために有楽町にある『ふるさと回帰支援センター』に行き、秋田県のブースで相談したところ、紹介されたのが男鹿市の地域おこし協力隊でした。」

しかし、当初、夫は移住に対して積極的でなかったとか。

「夫は『いつかは男鹿市に帰ってもいいけれど、今はまだ考えられない』という感じでした。ただ、2020年に入って新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、夫の会社はフルリモート勤務になり、夫婦ともに家で過ごす時間が増えました。そうしたこともあり、夏頃には夫も『この生活スタイルだったら、男鹿に移住してもいいよ』と言ってくれたので、私は会社を辞め、2020年10月に地域おこし協力隊として男鹿市に着任しました。」

動画や写真など、SNS用の取材は佐々木さんが自らカメラを手に撮影

協力隊同士の交流が支えに

地域おこし協力隊として配属されたのは、男鹿市の企画政策課移住定住促進班。SNSでの情報発信をはじめ、移住希望者を対象にしたオンラインツアーの実施や、移住者同士の交流会の開催といった業務を行っている。

「SNSはほぼ毎日発信しています。移住してきた人間だからこそわかる、男鹿市の魅力を伝えていきたいです。」

夫の故郷として度々訪れていた男鹿市だったが、着任した当初は、地元の人たちとのコミュニケーションに苦労したという佐々木さん。

「それまで義実家以外に男鹿市との接点がほとんどありませんでした。地元の方々とどう話せばいいのか戸惑うこともありましたが、夫に相談したり自分で工夫したりして徐々に土地に慣れていきました。悩んだら、それを文章にして原因を明確にすることで、行動の指針が見えるようになりました。また、県内で活動する協力隊同士の交流もあり、その関係性が仕事とモチベーションアップにもつながっています。」

地域おこし協力隊は幅広い年齢層の人たちが活動しており、協力隊同士で交流や情報交換することによって、男鹿市での自身の活動に活かせることも地域おこし協力隊である利点だと話す。

移住希望者を対象とするオンラインツアーの模様

良縁が紡ぐ理想のワークライフバランス

佐々木さんは、配属された企画政策課のメンバー、特に地域おこし協力隊の担当者に恵まれたことが幸運だったと感じている。

「担当者の方にはとにかく何でも相談できるし、信頼してもらえていることも伝わってきます。仕事の自由度が高く、隊員の希望を尊重してくれ、それを実行するためのアドバイスもしてくれるので心強いです。例えば、移住者交流会で郷土料理の『だまこ鍋』を食べるというアイディアを出したときには、講師として地元の方を紹介してくれました。また、コロナ禍での開催でしたので、新型コロナウイルスの感染対策を具体的にどうしたらいいか一緒に考えてくれました。本当に力強くサポートしてもらっています。」

SNSでの情報発信のための取材で出会った人たちと、交流が続くケースもあるという。

「頻繁に連絡を取り合って、一緒に食事に行くような友人もできました。移住者の方は価値観が似ている部分があるのか、親しくなりやすいです。今では地元の方たちとも良い関係を築くことができて、毎日の生活を楽しんでいます。それに、協力隊の仕事は残業がほぼないので、移住前よりも自分の時間が増えてゆったり生活できるようになりました」

周囲のサポート、活動の中で生まれる新たな出会い、そして自身の自由な時間と、公私ともに充実した、理想のワークライフバランスを実践できているようだ。

左)地元の方に干し柿作りを教わった際の様子 右)秋田県県央地域おこし協力隊の交流会にて

育休後は、もっと出会いを増やしたい

地域おこし協力隊として、1年目から多くの経験を積んできた佐々木さんは、現在は出産を控えているため協力隊を休業中だ。

「2023年1月に復職する予定です。これまで培った人脈や知識を駆使して、移住者同士の交流や地方移住に興味を持つ人に向けた移住体験ツアーなどを提案していきたいと思っています。男鹿市には、まだまだ私が知らない魅力的な人や企業がたくさん存在するはず。今後もっともっと出会いを増やしていきたいです。」

意欲的に復職後のプランを語る佐々木さんは、同時に任期終了後の暮らし方も今からじっくり考えていきたいという。

「このまま男鹿市に住み続けるつもりです。任期期終了後も男鹿市でできることを続けていきたいです。私の場合、地域おこし協力隊であるからこそ、地域の魅力、男鹿市の人々の温かさをより知ることができました。移住を検討している人には協力隊をおすすめしたいです。SNSを使っている現役の地域おこし協力隊も多いので、SNSで彼らに連絡を取ることもできます。移住後のミスマッチを避けるためにも事前の情報収集は念入りに!」

勇気を出して一歩を踏み出せば、佐々木さんのように地域との関わりから新たな自分が見つかるかもしれない。

左)男鹿市企画政策課移住定住促進班のメンバーたち 右)地元の漁師さんたちとの記念写真

Profile

秋田県 男鹿市 地域おこし協力隊
佐々木里保さん

1991年生まれ。東京都出身。幼少期からの憧れだった服飾雑貨デザイナーとして活動。夫の出身地である秋田県男鹿市に惹かれ、地方移住を決意。2020年10月に男鹿市の地域おこし協力隊に着任し、夫と共に移住。移住定住促進に関する情報発信等を担当。